2021-01-01から1年間の記事一覧

太宰治冒頭

大タイトル 『人間失格』 『走れメロス』 大タイトル 『人間失格』 私は、その男の写真を三葉、見たことがある。 一葉は、その男の、幼年時代、とでも言うべきであろうか、十歳前後かと推定される頃の写真であって、その子供が大勢の女のひとに取りかこまれ…

夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭

夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭 吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたか頓(とん)と見當がつかぬ。 何でも薄暗いじめじめした所でニヤーニヤー泣いて居た事丈は記憶して居る。 吾輩はこゝで始めて人間といふものを見た。然(しか)もあとで聞…

夏目漱石『坊ちゃん』の冒頭部分

夏目漱石『坊ちゃん』の冒頭部分 親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。

夏目漱石の『草枕』冒頭部分

夏目漱石の『草枕』冒頭部分。 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。 住みにくさが高(こう)じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟(さと)った時、詩が生れて、画(え)…